がらす)” の例文
がらすのような大勢に、取り巻かれて行ったのを見ただけで、しかとは申されませんが、その駕はどうも二つのように思いました」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのままお里に別れて橋を渡り過ぎながらふと見かえると、堤の柳は夜風に白くなびいて、稲荷のやしろの大きい銀杏いちょうのこずえに月夜がらすが啼いていた。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
近いところは物の影がくっきりと地を這って、なかごうのあたり、いらかうろこ形に重なった向うに、書割かきわりのような妙見みょうけんの森が淡い夜霧にぼけて見える。どこかで月夜がらすのうかれる声。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
乾いた手拭で身体をふきながら、彼は、すぐ眼の前の、梨の木の枝に、かささぎが一羽止って、こちらを見ているのに気がついた。嘴の黒い、胸の白い、両翼の紫色をした朝鮮がらすであった。
プウルの傍で (新字新仮名) / 中島敦(著)
めくらがらすは枝から枝へ啼いてあるいていつた。
藍色の蟇 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)