鳥雲ちょううん)” の例文
いつでも早速に相変化転そうへんけてんするのが陣形の本質で、鶴翼かくよくでも蛇形だけいでも鳥雲ちょううんの陣でも、そのままに固執こしつしたりするのでは、死陣であって活陣ではない。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これなん鳥雲ちょううんの陣とでもいうのか、やがて織田軍の柵へ近づくや、原、内藤、武田信廉のぶかどの諸部隊からまず鳥群のむら立つように、一斉、わめきかかって来た。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つづみを合図に、両軍それぞれの大兵が、鶴翼かくよく鳥雲ちょううん水流すいりゅう車輪しゃりん陰陽いんよう三十六変の陣形さまざまに描いてみせ、最後にはわあああっ……と双方起って乱軍となり、そこかしこで
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とんぼぐみの隊伍は、そのまましずかに進んで、ころあいなところで、鳥雲ちょううんじんにくずれ、また魚鱗ぎょりんかたちにむすび、しきりと厳重げんじゅう陣立じんだてもうとくふうしているようすであったが
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小手をかざして桑名くわなほうをみると、はやくも秀吉の先陣は、ふたたび戦雲をあげて孤城奪取こじょうだっしゅの総攻めにかかり、後陣は鳥雲ちょううんのかたちになって、長駆ちょうく柴田しばたとの迎戦げいせんに引ッかえしてゆく様子——。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)