あじ)” の例文
「ぜんまいの甘煮うまにと、芝蝦しばえび南蛮煮なんばんになどはどうです。小丼こどんぶりあじ酢取すどり。若布わかめ独活うどをあしらって、こいつア胡麻酢ごますでねがいましょう」
顎十郎捕物帳:16 菊香水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
もろあじの開き、うるめいわしの目刺など持ちましては、飲代のみしろにいたしますが、その時はお前様、村のもとの庄屋様、代々長者の鶴谷つるや喜十郎様
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お国は、取っておいたあじに、塩を少しばかりって、鉄灸てっきゅうで焼いてくれとか、漬物つけものは下の方から出してくれとか、火鉢の側から指図がましく声かけた。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
膳の上にあるのは有触ありふれたあじの塩焼だが、ただ穂蓼ほたでを置き合せたのに、ちょっと細君の心の味が見えていた。主人ははしくだして後、再び猪口を取り上げた。
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
たぶんあじだろうとにらんだが、鯵ならもうしゅんを過ぎているし、フライにしてからだいぶ時間も経つらしい。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
問われるままに、休戦後満洲から帰って来るまでの話をしている中、女中が飯櫃おはちを持出す。おかみさんが茶ぶ台の上に並べるものを見ると、あじの塩焼。茗荷みょうがに落し玉子の吸物。
羊羹 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ふんどし一つきりの裸体の漁夫が、井端で、大漁のあじを干物に割いていた。
月明 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
あじのスープ 秋 第二百十八 あじ料理
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
あじかしらん」
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
……魚のほうでは、立花屋の『あじ売』『松魚かつお売』てえのがあるが、小鰭の鮨売というのはまだ聞かない。ところで、立札には、ちゃんと所作事としてあった。
顎十郎捕物帳:22 小鰭の鮨 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
あじのロース 秋 第二百十八 あじ料理
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
あじのロール 秋 第二百十八 あじ料理
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)