魯庵ろあん)” の例文
此間魯庵ろあん君に会った時、丸善の店で一日に万年筆が何本位売れるだろうと尋ねたら、魯庵君は多い時は百本位出るそうだと答えた。
余と万年筆 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
次にここに補って置きたいのは、翻訳のみに従事していた思軒と、おくれて製作を出した魯庵ろあんとだ。漢詩和歌の擬古のうちに新機軸を出したものはしばらく言わぬ。
鴎外漁史とは誰ぞ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
不知庵主人内田魯庵ろあんがあり、漢詩の大家で、業病ごうびょうにかかり妹の曾恵子そえこを熱愛していた義弟勇三郎がその病の特効薬だときいて、他人の尻肉をりとったりしたのち
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
露伴、藤村とうそん、鏡花、秋声等、昭和時代まで生存していた諸作家は別として、僅かに一、二回の面識があった人々は、この外に鴎外おうがいびん魯庵ろあん天外てんがい泡鳴ほうめい青果せいか武郎たけおくらいなものである。
文壇昔ばなし (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
最初に出来た長子が夭折ようせつし、次に生れた長女はひ弱くて心細かったのでしょう、その頃石見国美濃郡いわみのくにみのごおりに高橋魯庵ろあんという人があって、その子の順吉というのが夙慧しゅくけいとして聞えていましたので
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
魯庵ろあん友喰ともぐひ4・29(夕)
現に此原稿は魯庵ろあん君が使って見ろといってわざわざ贈ってれたオノトで書いたのであるが、大変心持よくすらすら書けて愉快であった。
余と万年筆 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今は山田市岩淵町いはぶちちやうに住んでゐる。わたくしの舊知内田魯庵ろあんさんは棠園さんの妻の姪夫めひむこださうである。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)