高價たか)” の例文
新字:高価
「この前に出よつた時は千二百圓ほど借錢をさらすし、其の前の時も彼れ是れ八百圓はあつたやないか。……今度の千圓を入れると、三千圓やないか。……高價たかい養子やなア。」
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「あれは高價たかさうだ。いくらするだらう」「壹圓位のものだわ」「壹圓? そいつは驚くねえ。月給十五圓で壹圓の雪駄か」「だけれどもあれ位のにして置けば三月や四月は穿けるわ」
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
うち女中ぢよちうなさけで。……あへ女中ぢよちうなさけふ。——さい臺所だいどころから葡萄酒ぶだうしゆ二罎にびん持出もちだすとふにいたつては生命いのちがけである。けちにたくはへた正宗まさむね臺所だいどころみなながれた。葡萄酒ぶだうしゆ安値やすいのだが、厚意こゝろざし高價たかい。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それを厭がつてみのるは自分で本などを賣つて來てから、高價たかい西洋花を買つて來て彼方此方あつちこつちへ挿し散らしたりした。然うしたみのるの不經濟がこの頃の義男には決して默つてゐられる事でなかつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)