飢死うえじに)” の例文
貧苦の中に、四人の子を大きく仕上げ、自分もこの年まで、ともあれ飢死うえじにもせず生きて来られたのは、土の御恩だというのであった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
レイモンド嬢は自分の隠してやった賊を、そのまま放っておいたら飢死うえじにをしてしまうだろうということが心配になった。
大阪では大塩平八郎おおしおへいはちろうの乱が二月に起り、江戸でも春から人気が沈み切って、毎日何百という飢死うえじにがある有様です。
黄金を浴びる女 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
それっくれえ手前たちゃしをれてたんだ。——それにまた、己がそれをしなかったら、手前らは飢死うえじにしてたろうて。
これが普通なみの女であったらわア/\騒いで屹度きっと人を呼びましょう、それでも助ける人がなければ可愛や食物くいものはなし棺の中で飢死うえじにに死んで仕舞うだけ、実にどうも非道の致し方で
人間は、先ず正直でなければならないという、一番大事な点が今日では互に信じられないようにまでなっています。正直で飢死うえじにする方が正しいのか。それとも、要領をよくして生きる方が得なのか。
美しく豊な生活へ (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
飢死うえじにの自由」は九尺二間の長屋を占領し
たたかいの中に (新字新仮名) / 今野大力(著)
だがその前二年ってものは、馬鹿めが! あいつはかつえていやがったんだよ。奴は乞食をする、盗みはやる、人殺しをやる、おまけに飢死うえじにと来るんだからなあ!
去年の元亨げんこう元年の夏は、近年の大飢饉ともいわれたのに、いったい公卿の行き仆れや武家の飢死うえじにが一人でもあったかい。……ええおい、そこで乳呑みを抱いている女衆よ。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仮令たといしゅうでも家来でもお家の為を思う者を用いなければ止むを得んから主家しゅかを出る、飢死うえじにしても此の屋敷には居らんと、重役の者と争論いさかいを致しまして家出を致しまして四ヶ年程浪人致して居りました
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「その代り、俺が死んでしまえば、浜路は誰も気の付かぬところで飢死うえじにだぞ。この鉄馬という近い身寄りがありながら、大坪家の跡取りにも、娘の婿にも考えなかったばちだ。へッ、へッ、へッ、へッ」