風袋ふうたい)” の例文
平次は鸚鵡おうむ返しに言いました。千両箱というと、一両小判で千枚、一枚四もんめとしても四貫目、風袋ふうたいを加えると一つ五貫目は下りません。
「分って居るさ、だけどむこうがいくらこっちを侮蔑したって、こっちの風袋ふうたいは減りもえもしやしないからな。」
風袋ふうたいくと四百八もんめか、どうしたいくつだ廿六かな、さうするとひとつが」商人あきんどのいひをはらぬうちにおしな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
へえー……なにを。長「松花堂しようくわだうの三けう醋吸すすひで、風袋ふうたい文字もんじ紫印金むらさきいんきんだ、よく見ておぼえて置け。弥「へえー紫色むらさきいろのいんきんだえ、あれはかゆくつていけねえもんだ。 ...
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
こんな人のこんな風袋ふうたいばかり大きくても、割れば中から鉛の天神様が出て来るガラガラのような、見掛倒しの、内容に乏しい、信切な忠告なんぞは、私はちッとも聞きたくない。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そうすると、風袋ふうたいは中身と同じくらいの目方ですむ。
宇宙旅行の科学 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「三千両といや大金だ。持ってみた事はねえが、一両四もんめずつとして、風袋ふうたい抜きでも十二貫、生優しい人間じゃ持運びの出来る荷物じゃねえ」
いくらなんでえ、風袋ふうたいは」といた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
千兩箱の貫々は風袋ふうたいを加へてざつと五貫目、わざ/\そんなをのを持込む必要が何處にあるでせう。
銭形平次捕物控:274 贋金 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
その恰幅かっぷくからも偲ばれ、下女のお光は二十四、五のちょいとした年増で、これも風袋ふうたいだけは立派ですが、知恵の方は大したこともなく、女房のお作に叱り飛ばされるのが、気の毒な位でした。
掛けさせ度くなかつたんです——あれは親分、正直に申し上げると、小判なんか一枚も入つちや居ません。あの中に詰めてあるのは皆んな、砂利ですよ——中には風袋ふうたいだけの空つぽのもある筈で