顔料がんりょう)” の例文
旧字:顏料
浮世絵はその木板摺もくはんずりの紙質と顔料がんりょうとの結果によりて得たる特殊の色調と、その極めて狭少なる規模とによりて、まことに顕著なる特徴を有する美術たり。
浮世絵の鑑賞 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
抽斎は平素を鑑賞することについては、なにくれとなくおしえを乞い、また古器物こきぶつ本艸ほんぞうの参考に供すべき動植物をするために、筆の使方つかいかた顔料がんりょう解方ときかたなどを指図してもらった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ポーデル博士は、鏡の前へいって、まゆを黒く染めたり、高い鼻をおしつけて低くしたり、ひっこんだ目を少し前にだしたり、顔に黄色い顔料がんりょうをぬったりした。それからはかまをつけ、羽織はおりを着た。
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
顔料がんりょう(油絵具)を用います、普通油絵に使うだけの種類は必要です。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
浮世絵はその木板摺もくはんずりの紙質と顔料がんりょうとの結果によりて得たる特殊の色調と、その極めて狭少なる規模とによりて、まことに顕著なる特徴を有する美術たり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
各色の音楽的調和によりて企てずしておのずから画面に空気の感情を起さしむるといへども、肉筆画にありては、しゅ胡粉ごふんすみ等の顔料がんりょうは皆そのままに独立して生硬なる色彩の乱雑を生ずるのみ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
鮮明なる二種の色調と黒白こくびゃくとをあわせ用ゐて各部を異らしめたる所、共に強烈なる油絵の顔料がんりょうといへどもよくこれに及ぶ事あたはざるべし。余はホイッスラアのもっとも有名なる銅板画よりもむしろ本図を好む。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)