額髪ひたひがみ)” の例文
旧字:額髮
文久二年に鹿太は十五歳で元服して、額髪ひたひがみり落した。骨組のたくましい、大柄な子が、大綰総おほたぶさに結つたので天晴あつぱれ大人おとなのやうに見えた。通称四郎左衛門、名告なのり正義まさよしとなつた。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
額髪ひたひがみの湯のしづく落す苦しさも昼と夜に一度づつはめ申しさふらふ。ベツカ夫人、君は寿命のあり給はばコロンボに上陸し給ふやとある日私をふうし給ひさふらふ。心弱き人は醜くもさふらふかな。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
雪枝ゆきえ額髪ひたひがみゆするまで、ひざかゝへて、高笑たかわらひつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)