頸根くびね)” の例文
グレ さうよなァ、頸根くびねは、ろうなら、頸輪コラー首枷くびかせ)からッこいてゐるがよいてや。(罪人にはならぬがよいてや)。
両足を踏張ふんばって、組み合せた手を、頸根くびねにうんと椅子の背にもたれかかる。仰向あおむく途端に父の半身画と顔を見合わした。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
半ば斬放された頸根くびねからほとばしり出る鮮血が、みしだかれた掛軸の白を鮮かな紅に染めていった。
武道宵節句 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
と陸奥守は異様な声で叫び、自分の頸根くびねッ子をてのひらで抑えた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
藤蔓に頸根くびねを抑えられた櫂が、くごとにしわりでもする事か、こわうなじ真直ますぐに立てたまま、藤蔓とれ、舷と擦れる。櫂は一掻ごとにぎいぎいと鳴る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これが平均を破壊する第三の条件である。これほど不平があるなら、吾輩の頸根くびねっこをとらえて引きずり卸したらさそうなものだが、鈴木君はだまって見ている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)