鞠唄まりうた)” の例文
揚幕より推出おしいだされて、多勢の見物の見る目恥かしく、しのぶ、小稲とともに狂言のなかに立交たちまじりて、舞台に鞠唄まりうたうたいし声の、あやしく震いたるも多日しばしがほどぞ。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「およしなさい。町の流行唄はやりうたなんか。もっといい鞠唄まりうたがあるでしょ」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
萬歳まんざいつゞみはるかに、鞠唄まりうたちかうめあひこえ、突羽根つくばねたもとまつ友染いうぜんひるがへす。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
幾多の星霜を経てはいるけれども、かしこの柳、ここの松、湯屋も古くからあるというし、寺の門前のは今もあたりの女の子が、打集うては遊んでいる、鞠唄まりうたも唄うている、ひさし、軒、土の色も有のまま
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)