静物せいぶつ)” の例文
わたしはこんな話をしながら、静物せいぶついた古カンヴァスの上へおもむろに色を加えて行った。彼女はくびを傾けたまま、全然表情らしいものを示したことはなかった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
どちらかといえば、わたしは、ふかくわかりもしないくせに、多趣味たしゅみのほうです。あるとき、まちあるいていて、骨董屋こっとうやまえとおって、だれがえがいたのか、静物せいぶつ油絵あぶらえがありました。
らんの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうした子供こどもは、不思議ふしぎ図画ずがだけは、じょうずにくものだといわれていたが、秀吉ひできちのばあいは、静物せいぶつ写生しゃせいさせても、なにをかいたのか、その外形がいけいすら、まとまっていなかったのでした。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)