青蠅あおばえ)” の例文
第一の種類に属するものは、極めて大胆で、死体に湧く青蠅あおばえのように物事にしつっこい。第二の種類に属するものは、極めて臆病で、のりの足らぬ切手のように執着に乏しい。
死の接吻 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
なお、仕出屋の食事をつづけているらしく、勝手口の外には喰いちらかされた二人分の食器と、やっと暖かくなって来たかと思われるこの頃だのに、もうむくむくと肥った青蠅あおばえ
腐った蜉蝣 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
路地は人ひとりやっと通れるほど狭いのに、大きな芥箱ごみばこが並んでいて、寒中でも青蠅あおばえはねならし、昼中でもいたちのような老鼠ろうねずみが出没して、人が来ると長い尾の先で水溜みずたまりの水をはねとばす。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「お法師さま」六条のお牛場うしばのあたりを、二人は、見まわしていると、かつて、その辺の空地に寝ころんでいたまだうしや、牛のふんに群れていた青蠅あおばえのすがたは一変して、どこもかしこも
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まるで暑い夏の日に大きな青蠅あおばえがぶんぶんとびまわるようだった。
青蠅あおばえむれ翼を鳴らす腐りし腹より
見そこなったな、この青蠅あおばえめ!
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)