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隻頬
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かたほお
おかしいぞと思って、内を
透かすと、男の
隻頬が見えた、それは父親の顔であった、奴さんの
眼前はまた暗んだのさ
と、蛇は
尻尾の切れた青く
生なました
傷痕を見せながら姿を消してしまった。武士は気が
注いたように
髯を
剃った
痕の
蒼あおとした
隻頬に笑いを見せながら歩いた。
潤みを持った瞳が笑うとともに
熱った唇がまた
隻頬に
温く来た。章一の瞳はとろとろとなった。
道夫は手にした傘をまず立てかけて
斜に腰をかけた。腰をかけながら
室の中へやるともなしにやった眼に、島田の
髷をかしげるようにして坐っている
壮い女の白い
隻頬を見た。
謙作は台湾の
陽に焦げた肉の締った
隻頬に
笑をちょと見せた。