隻頬かたほお)” の例文
おかしいぞと思って、内をかすと、男の隻頬かたほおが見えた、それは父親の顔であった、奴さんの眼前めさきはまた暗んだのさ
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
と、蛇は尻尾しっぽの切れた青くなまなました傷痕きずあとを見せながら姿を消してしまった。武士は気がいたようにひげったあとあおあおとした隻頬かたほおに笑いを見せながら歩いた。
山寺の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
うるみを持った瞳が笑うとともにほてった唇がまた隻頬かたほおあたたかく来た。章一の瞳はとろとろとなった。
一握の髪の毛 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
道夫は手にした傘をまず立てかけてななめに腰をかけた。腰をかけながらへやの中へやるともなしにやった眼に、島田のまげをかしげるようにして坐っているわかい女の白い隻頬かたほおを見た。
馬の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
謙作は台湾のに焦げた肉の締った隻頬かたほおわらいをちょと見せた。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
謙作は隻頬かたほおで笑ってコップを持った。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)