際限はてし)” の例文
土地不案内の為に、これも途中で迷っていられた日には、何時いつまで経っても際限はてしがあるまい。うか一刻も早く町へ出て貰いたいものだ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
人間と人間との特殊な交渉より外には何物もないせまくて窮屈な小い部屋のなかに住みなれて来た彼女に取つては、際限はてしもない青空を仰ぐことすらが、限りない驚異でもあり喜悦でもあつたが
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
彼等かれらあらそひは、際限はてしもなくつゞいた。さうしてけてつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
或時あるとき土方どかたとなり、或時あるときは坑夫となって、それからそれへと際限はてしもなく迷い歩くうちに、二十年の月日は夢と過ぎた。彼の頭には白髪しらがえた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
何しろ、得体の判らぬ男であるが、何時いつまで睨み合っていても際限はてしがないと、市郎の口もほぐれ初めた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
弱い奴等ばかりが蛆虫のようにあつまって、口のさきで慈悲の情けのと騒いでいるばかりでは、いつまでたっても際限はてしがあるまい。所詮は強い者の世の中だ。みんなも精出して強くなれ。
蟹満寺縁起 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)