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陰惨
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いんさん
ふりがな文庫
“
陰惨
(
いんさん
)” の例文
旧字:
陰慘
瞑目
(
めいもく
)
をして考えている。
陰惨
(
いんさん
)
としていた顔の上に、歓喜の色が浮かんだのは、明るい希望が湧いたからでもあろう。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
陰惨
(
いんさん
)
にかれの精神のまえに浮動しながら、かれのうちにいろんな希望を——不可解な、理性を乗り越えた、そして奇怪な甘さをもつ希望を、もえ立たせた。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
一ぽうの中庭からほのかな日光ははいるが、座中
陰惨
(
いんさん
)
としてうす暗く、昼から
短檠
(
たんけい
)
をともした赤い光に、ぼうと照らしだされた者は、みなこれ、
呂宋兵衛
(
るそんべえ
)
の腹心の
強者
(
つわもの
)
ぞろい。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかもその頭脳の中には、詰めきれないほど残ってる試験の課題が、無制限の勉強を
強
(
し
)
いているのである。そうした青年時代の生活は実にただ「
陰惨
(
いんさん
)
」という一語によって尽される。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
眼はカッと宙を
睨
(
にら
)
んで、頬から
額
(
ひたい
)
に化石した苦悩の
皺
(
しわ
)
、眼鼻立は立派で、決して醜い方ではありませんが、ヒステリックで、
陰惨
(
いんさん
)
で、
偏執狂
(
へんしゅうきょう
)
などによくある、
歪
(
ゆが
)
んだ顔からくる不気味さは
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
いかにも血なまぐさい事件のあった家らしく、
陰惨
(
いんさん
)
な空気が満ちていた。
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
従って進歩の
所縁
(
よすが
)
となるべき関係以外は、全然その存在を認められない。かの
徒
(
いたず
)
らに地上生活を
陰惨
(
いんさん
)
ならしめ、
徒
(
いたず
)
らに魂の発達を阻害する人為的束縛は、肉体の消滅と同時に、跡方もなく断絶する。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
そして彼らいよいよ来り見ればあまりに
陰惨
(
いんさん
)
なる有様よ! あまりに大なる変化よ! 町の外に
逐
(
お
)
われて乞食の如く坐し悪腫全身を犯すその惨状よ! 疑うヨブあるいは隠れたる大罪を犯してこの
禍
(
わざわい
)
を
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
陰惨
(
いんさん
)
な灰色の天地から、都鳥なく
吾妻
(
あずま
)
の空へ……。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
見るからにゾッとするような
陰惨
(
いんさん
)
な
邸宅
(
ていたく
)
だった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
四十そこそこの
陰惨
(
いんさん
)
な忍従に叩き上げられたような蒼黒い男です。
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
われわれはその歌の
陰惨
(
いんさん
)
さに途方にくれた。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
“陰惨”の意味
《名詞》
陰惨(いんさん)
陰気で惨たらしいこと。また、そのようなさま。
(出典:Wiktionary)
陰
常用漢字
中学
部首:⾩
11画
惨
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
“陰惨”で始まる語句
陰惨冥々