附合つきあい)” の例文
この時奥さんは、どうも秀麿の話は気乗がしていない、附合つきあいに物を言っているようだと云う第一印象を受けたのであった。
かのように (新字新仮名) / 森鴎外(著)
一母五子、他人を交えず世間の附合つきあいは少く、あけても暮れてもただ母の話を聞くばかり、父は死んでも生きてるような者です。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
所が、この逆上では、登城の際、附合つきあいの諸大名、座席同列の旗本仲間へ、どんな無礼を働くか知れたものではない。
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
学者としてあがめられても、もともと漢方のお医者でしたから、時代後れで、質素なお暮しでした。私が稽古けいこに通った関澄せきずみ桂子さんともお附合つきあいなのです。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
山男などと附合つきあいをするのは、いずれ身のためにはくないことだと話し合っていたそうであるが、もしこの樵夫にせめて松任の餅屋ほどの気働きばたらきがあったら
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
むを得ざる附合つきあいで買われた品もあり、相当の数があったし、御自分でも、季節季節の変り目にはこくめいに取りかえられてはいたが、「主婦の友」の附録の石版刷
解説 趣味を通じての先生 (新字新仮名) / 額田六福(著)
「あんまり学問をすると、そう誰でも彼でもむやみに附合つきあいが出来にくくなる。アハハハハ」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
世間の附合つきあいを絶ってしまって、わたし一人にそっと奉公させていなさる。
忠「宜しゅうございます、わたくしも出たいからお附合つきあいをしたい」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
親友もはなはだ多いが、この交際についても矢張やはり極端説は忘れない。今日までこの通りに仲好く附合つきあいはして居るが、先方の人がいつ何時なんどき変心せぬとう請合はむずかしい。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しかし彼が芸人附合つきあいを盛んにし出して、今紀文と云われるようになってから、もう余程の年月としつきが立っている。察するに飾磨屋は僕のような、生れながらの傍観者ではなかっただろう。
百物語 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
後にはお兄様も、石黒氏と立入ったお附合つきあいはなさらなくなったようです。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
僕が附合つきあいを心得ていることには、諸君同意だろう。2120
世間の交際を重んずるの名を以て、附合つきあいの機に乗ずれば一擲千金いってきせんきんもまたしまず。官用にもせよ商用にもせよ、すべて戸外公共の事に忙しくして家内を顧みるにいとまあらず。
教育の事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そこで附合つきあいがまずくならないように気を附けている。
親戚朋友の附合つきあいもただ一方にして余計の心配なく、衣食住の物とて自分一人ひとりの気に任せて不自由なく、病気も一身の病気にして他人の病を憂うるに及ばざるに、ただ夫婦の約束したるがために
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)