闇穴道あんけつだう)” の例文
この世と地獄との間には、闇穴道あんけつだうといふ道があつて、そこは年中暗い空に、氷のやうな冷たい風がぴゆうぴゆう吹きすさんでゐるのです。
杜子春 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
およそ三百段も降りた時いよいよ闇穴道あんけつだうの入口に差掛さしかゝつて、其処そこには鬼ならぬ一人の巡査がカンテラを持つて立つて居る。人人はそのカンテラの前に立留たちどまつて蝋燭の火をけた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
たゞひとり闇穴道あんけつだうにおりたちて
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
闇穴道あんけつだうはりき負ひられゆくごと
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
髑髏洞どくろどうの尽きた所にある二つの石門せきもんくゞつて更に一ちやう程の闇穴道あんけつだうを過ぎ、再び螺旋の石階いしばしを昇ると、初めの入口いりくちから七八ちやうも遠ざかつた街に出口が開かれて居た。買つた蝋燭はほとんど燃え尽きて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)