閻浮檀金えんぶだごん)” の例文
金銀、硨磲しゃこ瑪瑙めのう琉璃るり閻浮檀金えんぶだごん、の属を挙げて、ことごとく退屈のひとみを見張らして、疲れたる頭を我破がばね起させるために光るのである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
量目はかりめ約百万両。閻浮檀金えんぶだごん十斤也。緞子どんす縮緬ちりめんあやにしき牡丹ぼたん芍薬しゃくやく、菊の花、黄金色こんじきすみれ銀覆輪ぎんぷくりんの、月草、露草。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
中天竺ちゅうてんじく舎衛国しゃえこくに、五種の悪疫が流行した時、月蓋長者がっがいちょうじゃが竜宮城から閻浮檀金えんぶだごんを取り寄せて、釈尊、目蓮もくれん長者ちょうじゃと三者が心を合せて鋳造した、阿弥陀如来の霊像といわれた。
夕されば閻浮檀金えんぶだごんの木の光またかうかうとよろめきにけり
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
嫩江を前にただしく横たへて閻浮檀金えんぶだごんの日の沈み行く
しぐるゝや閻浮檀金えんぶだごんの実一つ
満堂の閻浮檀金えんぶだごんや宵の春
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
侍女一 姫様は、閻浮檀金えんぶだごん一輪挿いちりんざしに、真珠の露でおけ遊ばし、お手許てもとをお離しなさいませぬそうにございます。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
網の目に閻浮檀金えんぶだごんの仏ゐて光りかがやく秋の夕ぐれ
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)