金目かなめ)” の例文
袖やすそのあたりが、恰度ちょうどせみころものように、雪明りにいて見えて、それを通して、庭の梧桐あおぎり金目かなめなどの木立がボーッと見えるのである
雪の透く袖 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
倹約な巴里パリイの女が外見は派手でありながら粗末なしつの物をたくみに仕立てるのとちがつて、倫敦ロンドンの女は表面質素じみな様で実は金目かなめかゝつた物を身に着けて居る。だ惜しい事に趣味が意気でない。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
金目かなめ黐垣の抽き過ぎて出た芽を、二つ三つ摘み捨てゝ、松材の門の扉に手をかけ乍ら桂子が振り仰ぐと、「程君画房」といふ新しい標札がかゝつてゐる。字は小布施の洋画家風の筆蹟である。
花は勁し (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
その外には二本の青桐と金目かなめが五六本と柘榴ざくろなどがある。長さ五間の板塀にくつついて是等の木は並べて植ゑられてある。さうしてそれらの木は皆共同の一つの目的を持つて居る。其は外でもない。
発行所の庭木 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
その混亂こんらんのあとには、持出もちだした家財かざい金目かなめのものがすくなからず紛失ふんしつした。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)