金環きんかん)” の例文
「ジュリアの耳飾みみかざり右の方のはチャンとしていたけれど、左のは石が見えなくて金環きんかんだけが耳朶みみたぼについていたというのは面白い発見だネ」
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
とあやしまれたがのちによく見れば、独楽こま金輪かなわの一たんに、ほそい金環きんかんがついていて、その金環から数丈すうじょうひも心棒しんぼうにまいてあるのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其処そこには、ざっと酒肴を用意して、殿——大膳正を待っている様子。隣の部屋を覗くと、恐ろしく贅沢ぜいたくな夜の物に、金環きんかん蚊帳かやかすんで、絹行灯きぬあんどんの灯がほのぼのと照らして居ります。
老人は朱絹のころもをまとい、竹冠をかぶり、肥えたる耳に金環きんかんを垂れ、さながら達磨禅師だるまぜんじのような風貌をしている。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さあ、これで儂の『消身法しょうしんほう』の実験は終ったのだ。約束どおり、その金環きんかんを返してもらおう」
見えざる敵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その高原こうげんの一かくに立てば、群山ぐんざんをめぐる雲のうみに、いま、しずもうとしている太陽の金環きんかんが、ほとんど自分の視線しせんよりは、ズッと低目ひくめなところに見える。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金環きんかんが宝物だといってはいないじゃないか。この環の中に入れてあったものを返せ」
見えざる敵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さらにまなこの光もただならず、丸ッこいあから顔を、もじゃもじゃしたひげが取り巻いている。また腰なるは、太原風たいげんふうの帯ヒモとそして金環きんかんの飾りある剣。——問うまでもなくこれは軍装である。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
更紗さらさまとい、黒い皮膚に、たま金環きんかんを飾っている二人の黒奴くろんぼだった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)