金平きんぴら)” の例文
どっさり持ってめえりましたぞい。おなますも持って参りましたぞい。ほれ、これが金平きんぴら……煮染にしめもありますで……ひらべの煮付け……
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
その子の金平きんぴらも、きんぴら牛蒡ごぼうやきんぴら糊に名を残したばかりか、江戸初期の芝居や浄瑠璃には、なくてはならない大立者おおだてものだ。
梵雲庵漫録 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
ひだるさにのめりそうでも、金平きんぴら式の武勇伝で、剣術は心得たから、糸七は、其処に小提灯の幽霊の怖れはなかった。
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
我れ三文字屋さんもんじや金平きんぴらつと救世ぐせい大本願だいほんぐわんおこし、つひ一切いつさい善男ぜんなん善女ぜんによをしてことごと文学者ぶんがくしやたらしめんとほつし、百でツたむまの如くのたり/\として工風くふうこら
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
この草紙は女主人公が『金平きんぴらのおきん』で、その夫が神野忠知ただともにしてある。この人の句で名高い『白炭や焼かぬ昔の雪の枝』というのが、或る書には『白炭は』とあって名も種知としてある。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
曝書ばくしょ風強し赤本あかほん飛んで金平きんぴら怒る
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)