酒杯さかづき)” の例文
先祖から伝はつた酒杯さかづきを相手に、時をり管を巻くことの好きな寺名主が、ある時チビリチビリやりだして、まだ二杯とは傾けんのに、ふと見ると
恐しく鳴り渡るにつれて、『どうだ、君一杯ひとつ。』の叫声、手もとゞかぬテーブルの、彼方かなた此方こなた酒杯さかづきの取り遣り。
一月一日 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
下人 はっしゃらいでもまうしませう。手前てまへ主人しゅじんはカピューレット長者ちゃうじゃでござります。貴下こなたがモンタギューかたでござらっしゃらぬならば、せて酒杯さかづきらッしゃりませ。
ここにそのきささ 大御酒杯さかづきを取らして、立ち依り指擧ささげて、歌よみしたまひしく
叔母はその時、なんでも韃靼風のだぶだぶした衣裳をつけて、酒杯さかづきを持ちまはつて一同に酒をすすめてゐたさうぢや。
この老人は酒杯さかづきを頭にのつけて、四絃琴バンドゥーラを手にすると、煙管パイプをすぱすぱやりながら、歌を口ずさみ口ずさみ、ぞめき連のやんやといふ喝采につれて、しやがみ踊りをおつぱじめたものだ。