遠巻とおま)” の例文
旧字:遠卷
同時に、八方から裾野すそのへくだって、時刻時刻の合図あいずとともに、遠巻とおまきのをちぢめて、ひとりあまさず討ってとる計略けいりゃく。かならずこの手はずをわすれるなよ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
警官隊や消防隊は、はるかに離れて、これを遠巻とおまきにしていた。
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さらに見れば、川向こうから三方みかたはらのおちこちには、いつか、秋霜しゅうそうのごときやりと刀と人影ひとかげをもって、完全な人縄ひとなわり、遠巻とおまきに二じゅうのにげ道をふさいでいる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みわたせば、いつのまにやら、徳川とくがわ三千の軍兵ぐんぴょうは、裾野すその半円を遠巻とおまきにして、焔々えんえんたる松明たいまつをつらね、本格の陣法くずさず、一そく鶴翼かくよくそなえをじりじりと、ここにつめているようす。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)