過日かじつ)” の例文
また過日かじつ金米きんべい会談を通じて、シモン及び余に対して示されたる数々の御厚意に深く感激しとる。さあ、まずそれへお掛け
過日かじつかたきったつもりなのであろう。まつろうはこういって、ひげあとのあおあごを、ぐっと徳太郎とくたろうほうきだした。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
だんだんあさり尽くした揚げ句に、翁はふと過日かじつの杉の森を思いついて、念のために森の奥へはいってみると、婆は藻と同じようにかの古塚の下に倒れていた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
居士こじめいをうけて武州ぶしゅう高尾たかおにいる忍剣のところへいくこと、また過日かじつ小幡民部こばたみんぶから通牒つうちょうがきて、なにごとか伊那丸いなまるの身辺に一大事が起っているらしいということ、さては
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
過日かじつこの孤児園こじえん孤児こじたちが、って、書簡しょかんせんや、鉛筆えんぴつや、はみがきなどをかんへれて、りにきたとき、自分じぶんは、つれなく、「みんなあるから、いらない。」と、ことわったのだった。
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこへあたふたと、廊下を走って、過日かじつの特使シモンが駈けこんできた。