連累れんるい)” の例文
「第一、江戸へ帰れば、早晩貴公も、八十三郎の連累れんるいとして、召捕あげられる。また、どの顔さげて、江戸の街を、その頭で歩けるか——」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土工の連累れんるい者は十八人というのであるが、何分にも数年前のことだから、そのうちの四人はどこかへ流れ渡ってしまって行くえが判らない。
女侠伝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「わたしはだまっていることにする。」みずからの共謀きょうぼう連累れんるいという意識が、ちょうど少量のぶどう酒が疲れた脳を酔わせるように、かれを酔わせた。
判らぬが、察するところ、御鷹野の連累れんるいとして、念のために捕えたが、久光公から、何か、御言葉が出たらしい。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
この言葉で、彼は親友もまた、彼自身の敵の連累れんるい者になったのではあるまいかと疑いはじめた。
あめんちあ (新字新仮名) / 富ノ沢麟太郎(著)
お家騒動の張本人を、森帯刀様と仮定すると、その連累れんるいが大鳥井紋兵衛、それから大槻玄卿なる者は、日本有数の蘭学医、信州の天野か江戸の大槻かと呼ばれ、俺と並称へいしょうされている。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
局外荷主の品たりとも連累れんるいわざわいを免るることはできないと心得よ。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
くうなんて、気のかねえ話があるものか。御牢舎ぐらいですみゃいいが、隠密をかくまいだてした連累れんるいとなると、とても、そんなことじゃすむまいぜ……エエ源次
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
越後中将光長えちごちゅうじょうみつながほうを没収して幽閉ゆうへいし、連累れんるいをことごとく処分に付したのだから、当時の官民は
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
連累れんるいのものとして、伊那丸たちが、垢離堂に監禁かんきんされたのを見ると、さすが、がやがやさわいでいた徳川家のさむらいたちも、いくぶんか気がすんだと見えて、死骸しがいをかたづけ、血汐ちしおすなをまき
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
したがって、宋江の就いていた押司おうしの職なども、重要なだけに、ちょっとした私意や違法の間違いを犯すと、ざんに会って、すぐ流罪るざいだの家産没取のやくにあい、その連累れんるいは、一族にまでおよぶ有様。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)