かよい)” の例文
女「おかよいをこれへ置きますから、若しも御用がございますなら仰しゃり付けて下さいまし、度々たび/\出ますでございますから」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そしてそういう費用のすべては、耕吉の収入を当てに、「Gのかよい」といったような帳面をこしらえてつけておいた。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
ばばと黒犬に見える、——その隣室となりの襖際と寝床の裾——皆が沖の方を枕にしました——裾の、袋戸棚との間が、もう一ヶ所かよいで、裏階子うらばしごへ出る、一人立ひとりだちの口で。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ところが、梅が泣顔をして帰って来た。どうしたかと問うと、こう云うのである。肴屋を見附けて這入ったら、その家はお内へかよいを持って来たのとは違った家であった。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
乙女「へえ鈴木屋すゞきやでございます、何んぞ御用はございませんか、これへおかよいを上げて置きますから、どうかお取付けになります様、誠に有難いことで、えゝ鈴木屋でございます」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私は目の遣場やりばに困りました。往来のかよいも、ぎっしり詰って、まるで隙間がないのです。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
甲女「へえ叶屋かのうやでございます、なんぞ御入用ならかよいを置いてきますから」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)