逃奔とうほん)” の例文
同志ひそかに此処ここつどいては第二の計画を建て、磯山逃奔とうほんすともいかで志士の志の屈すべきや、一日も早く渡韓費を調ととのえて出立の準備をなすにかずと、日夜肝胆かんたんくだくこと十数日
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
しかるに、磯山は、弥〻いよいよ出立というその前日逃奔とうほんし、更にその潜所せんしょを知るあたわず。ゆえを以てむなく新井あらい代りてその任に当り、行く事に決せしかば、彼もまた同じく、のうに同行せん事を以てす。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
あるいは磯山自ら卑怯ひきょうにも逃奔とうほんせし恥辱ちじょく糊塗ことせんために、かくは姑息こそくはかりごとめぐらして我らの行をさまたげ、あわよくばばくに就かしめんとはかりしにはあらざると種々評議をこらせしかど、ついに要領を得ず
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)