“返却（かへ）” の例文
『屹度（きつと）返却（かへ）します、屹度（きつと）。』などと誓（ちか）ひながら、又（また）帽（ばう）を取（と）るなり出（で）て行（い）つた。が、大約（おほよそ）二時間（じかん）を經（た）つてから歸（かへ）つて來（き）た。
六号室 (旧字旧仮名) ／ アントン・チェーホフ(著)
私も高野の宝物保存に就いては異議は無いのだから、朝吹君や益田君が自分達が以前狩り集めた物を返却（かへ）すといふ条件付なら、何時でも寄附に応ずる。
茶話：03 大正六（一九一七）年 (新字旧仮名) ／ 薄田泣菫(著)
其袂（たもと）を捉（とら）へて『餘（あんま）りじやアありませんか、何卒（どうか）返却（かへ）して戴（いたゞ）きたいもんです』と泣聲（なきごゑ）になつて訴（うつた）へた。
石清虚 (旧字旧仮名) ／ 国木田独歩(著)