辞去じきょ)” の例文
そしてシンプソン病院を辞去じきょしたのであるが、彼は寒夜かんやの星をあおぎながら、誰にいうともなく、次のようなことをつぶやいたのだった。
東京要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
予が辞去じきょの後、先生例の散歩さんぽこころみられ、黄昏こうこん帰邸きてい初夜しょやしんつかれんとする際発病はつびょうついたれず。哀哉かなしいかな
倉皇そうこうと、入道は辞去じきょした。玄蕃允げんばのじょうは、将座へもどると、すぐ指揮を発して、岩崎山へ一隊を派し、また、賤ヶ嶽と大岩山の中間にあたる観音坂附近や蜂ヶ峰へも、各〻監視小隊をさし向けた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幸い雨は上ったことだし、北鳴四郎は辞去じきょを決して、二階を下りていった。老人夫婦は残念そうに、その後について、送ってきた。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
それは二人にとってさら見当けんとうのつかないことだった。話はそれまでとなって、白丘ダリアと伯父とは、警視庁を辞去じきょした、というのであった。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まえにもいったとおり、ヘクザ館は人里ひとざとはなれた山岳地帯にあるのだから、こうなっては、辞去じきょすることもできないのである。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
肝腎かんじんの毒瓦斯発明院長の燻精が、金博士のところを辞去じきょするとき、瓦斯通路を歩かされ、すっかり瓦斯患者とされてしまったのを、当人はもちろん醤も気がつかなかったのだ。