転嫁てんか)” の例文
「ははあ。それで読めました。李厳の督しておる軍需増産の実績がここ甚だあがらないので、とがを丞相に転嫁てんかせんとしたものでしょう」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「人事課長次第だと言うんだ。人事課長は又宗像さんと幹部次第だと言うんだ。両方で責任を転嫁てんかし合って断る算段と見える」
秀才養子鑑 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
往復の船賃は学校で負担する、という条件さえ付いたそうであるが、これは「義務教育」という国家制度の形式をととのえたまでのことで、葛飾の小学校へ責任を転嫁てんかしたわけである。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「郡奉行に、村役人は、これは頭ごなしに、詮議せんぎ不行届ふゆきとどき、天一坊は贋者で無いか、こういう証拠があるのに、前任者へ責任を転嫁てんかさせるとは、不都合千万せんばんと、叱ってもらえば、一も二もあるまい」
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
犯人自身の安全にした事、そして第三は、その怪指紋を当の復讐の相手である川手氏の妹さんの指から盗んで来たこと、つまりそうして最後には殺人罪の嫌疑を悉く被害者自身に転嫁てんかしようと
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
今日、それがしを向けて、あなたに和睦わぼくを乞わしめようとする曹操の本志は、和議にあらず、ただ民心の怨嗟えんさ転嫁てんかせんための奸計かんけいです。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と三輪さんはお弟子の責任を田鶴子さんと僕に転嫁てんかしようとした。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
成政は、怒髪どはつ天をついて、また、小兵衛をののしった。そして、自身の不覚を、転嫁てんかして
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、例のわがままな筆法で、後の進行は、同僚の仕事に転嫁てんかしてしまった。
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)