転倒てんどう)” の例文
旧字:轉倒
転倒てんどうしてくびれて死んだ事であると分ったので事果てましたから、死骸はまず佐十郎方へ引取らせて、野辺送りをいたしました。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
転倒てんどうしても気はたしかで、そんなら、振切っても刎上はねあがったかと言えば、またそうもし得ない、ここへ、」
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
見たものの話でござりますが、これを一目の時、震え上って、すぐに地震、と転倒てんどういたしましたそうで、ここで誰も大地震の前触まえぶれを、虚言そらごととは思いませんようになりました。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
富「それア、それアわし転倒てんどう致した」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今のきゃあ!で転倒てんどうして、わっ、と云うて山の根から飛出す処へ、胸を頭突ずつきに来るように、ドンと嘉吉が打附ぶつかったので、両方へ間を置いて、この街道の真中まんなかへ、何と、お前様
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
転倒てんどうしている最中、どんな拍子で我知らず持って立って、落して来ないとも限らんから、念のため捜したものの、誰も開けない次のへ行ってるようでは、何かがかくしたんだろうから
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三昼夜麻畑の中に蟄伏ちっぷくして、一たびその身に会せんため、一りゅういいをだに口にせで、かえりて湿虫のえばとなれる、意中の人の窮苦には、泰山といえども動かでむべき、お通は転倒てんどうしたるなり。
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)