身動みじろぎ)” の例文
僕は今、豪然として船に乗り込む、サロンの丁度中程の、僕は豪華な肱掛椅子に腰を埋めて、部屋の主人であるやうな傲慢無礼な様をしながら、銅羅の鳴るまで身動みじろぎもしない。
海の霧 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
しかるに某は身動みじろぎだにせであるを、衆のものいよいよ可笑がりて、近づき視れば、何ぞ図らむ、舌を吐き目をねぶりて、呼息まことに絶えたり。高粱の殻にて縊れぬとはあやしからずや。
『聊斎志異』より (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
野村は、気が抜けた様に、石像の如く立つて、目には女を見た儘、身動みじろぎもせぬ。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
透間にし入る日の光は、風に動かぬ粉にも似て、人々の袖に灰を置くよう、身動みじろぎにも払われず、物蔭にも消えず、こまやかに濃く引包ひッつつまれたかのおもいがして、手足も顔も同じ色の、蝋にも石にもかたまるか
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小山なすかばねもとに、身動みじろぎもえならでする
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
身動みじろぎも得ならぬ思ひ
小曲二十篇 (新字旧仮名) / 漢那浪笛(著)
野村は氣が拔けた樣に、石像の如く立つて、目には女を見た儘、身動みじろぎもせぬ。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
小山なすかばねもとに、身動みじろぎもえならでする
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
身動みじろぎうと旅人たびうどの雲のはたてに消ゆる時。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)