はしや)” の例文
青葉にかこまれたそこのテニス・コートでぽん/\ボールを打つてゐた一年生に誘ひ込まれ、私は滅多になくはしやいで産れてはじめてラケットを手にした。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
はずみましたとも。あれからこども達と一緒にクンカンなんかりましてね。ひどはしやぎましたよ。」
物心のつく前から、旅藝人の中で育つて、親も兄弟も判らないのを苦にしてゐましたが、近頃何んでも、——私も素姓がわかるかも知れない——とはしやいだり、沈んだりしてゐました。
行末怎うなるのか! といふ眞摯な考への横合から、富江のはしやいだ笑聲が響く。つと、信吾の生白い顏が頭に浮ぶ、——智惠子は嚴肅な顏をして、屹と自分をたしなめる樣に唇を噛んだ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
咲子ははしやぎ立つて、彼女の下駄をそろへたり、伝票を出したりした。
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
はしやぐ少女と嘲笑あざわらふヤンキイは
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
行末うなるのか! といふ真摯まじめな考への横合から、富江のはしやいだ笑声が響く。ツと、信吾の生白い顔があたまに浮ぶ、——智恵子は厳粛おごそかな顔をして、屹と自分をたしなめる様に唇を噛んだ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
はしやぎくたびれた連中れんぢゆうの一人が、がつかりしたやうに言ふと皆は声を合はせた。
十六日の当日、朝早くから山のふもとに集まつたてあひは、青竹で山を叩き、岩を叩き、木の根を叩きながら、めい/\声一杯にわめいたものだ。なかには、石油の空缶を叩いてはしやぎまはるのもあつた。
彼方の室からは子供らの笑聲に交つて、富江のはしやいだ聲が響いた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)