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踏分
押へたりと云ふに左京は是を
聞て大いに
訝り我々は大雪を
踏分寒さを
厭はず
麓へ出て
網を
張ても
骨折損して歸へりしに貴殿は内に居て
爐に
煖り乍ら千兩程の大鳥を
駈拔んとて皆々駈出し
頓て三里の松原に出で大勢の雲助共今や來ると
彼方此方に
潜み手ぐすね引て待伏たり半四郎は
神ならぬ身の夢にも知ずたどり/\て
道芝の
露踏分つゝ程なくも三里の松原へ差懸るに木の間の月は
山清水がしとしとと
湧く
径が
薬研の底のようで、両側の
篠笹を
跨いで通るなど、ものの
小半道踏分けて参りますと、
其処までが
一峰で。