赤色せきしょく)” の例文
牡丹ぼたんに対し中国人は丹色たんしょくの花、すなわち赤色せきしょくのものを上乗じょうじょうとしており、すなわち牡丹に丹の字を用いているのは、それがためである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
いくぶん不安な気を起させるものといえば、この部屋の照明が、相当明るいには相違ないが、あわ赤色せきしょく灯で照明されていることであった。
鬼仏洞事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
聞く所によれば野蛮人は赤色せきしょくを愛すると云うが、我輩わがはい文明人にしてもなお野蛮の域に居る所の子供は赤色を好み、段々と大きくなるに従って、色の浅いものを好むようになる
猫と色の嗜好 (新字新仮名) / 石田孫太郎(著)
赤色せきしょくなつめの実の赤色にしてけぶれるほのおの色(黒き赤)と銀色ぎんしょくの灰色(灰の赤)とに分たれ、緑には飲料茶の緑、蟹甲かいこうの緑、また玉葱たまねぎしんの緑(黄味きいろみある緑色)、はすの芽の緑(あかる黄味きいろみある緑)
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この頭目、赤色せきしょくの指導者が、無遠慮に自動車へ入ろうとして、ぎろりと我が銑吉をて、むなさきで、ぎしと骨張った指を組んで合掌した……変だ。が、これが礼らしい。加うるに慇懃いんぎんなる会釈だろう。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一、ヒース・ニウトン氏 黒人(赤色せきしょく帽、肉桂色にくけいしょく短衣ジャケツ
このオランダイチゴ、すなわちストローベリの実のうところは、その花托かたくが放大して赤色せきしょくていし味が甘く、においがあってやわらかい肉質をなしている部分である。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)