)” の例文
「あ、あそこへ子供が大きな輪を廻しながらやって来る! さ、御両氏、急いでゼロへおりなさい! できるだけ沢山に!」
自分も相当の好きらしく時々寺銭をっているそうなが、不思議な事にこの坊主を負かすと間もなく、御本堂がユサユサと家鳴やなり震動して天井から砂が降ったり、軒の瓦がすべったりする。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
だが清吉は——例えば大きな博奕ばくちっているように結果が待たれた。
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
例の通り細君が玉廻しクルウビエになり亭主がり方へまわった。この日ははじめからだいぶ調子がよくて二十分ほどのあいだにかなりの額を勝ちつづけた。
黒い手帳 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「おもしろい。どっちが真物ほんものか、賭けと行こう。さっ命をったぜ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
珍妙なことがはじまった。黒へれば赤が出る。奇数へ賭れば偶数が出る。面白いほどいちいち反対の目が出た。それは、涯しないいたちごっこだった。
黒い手帳 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
彼は無頓着なようすで黒へ二度、赤へ二度、黒へ一度、赤へ三度……それからまた前へ戻って、黒へ二度、赤へ二度というぐあいに最高額をりつづけていた。
黒い手帳 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
上の空の様子で機械的にったり取ったりしていたが、急に膝の前の紙幣を手提袋の中に納い込み、巧みに膝の下へ押し込まれていた参事官の足を無情すげなく跳ねのけると
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
廻し役クルウピエは、⦅賭けたり、賭けたりフェエト・ヴォ・ジュウ・メッシュウ⦆と、しきりに勧誘していたが、おおかた一座がり終えたのを見すますと、やがて廻旋軸シランドルを右に廻し、その運動の方向の反対側へ、白い象牙の玉を投げ込んだ。
「大丈夫だ、いま撫でるところだ。……それはそうと、どこへったっていいようなものだが、ともかく、最も距離の短いところへ置くことにしよう。飛んで来る賭牌ジュットンにしたってあまり疲れないですむわけだからね」