賞牌しょうはい)” の例文
墓碣ぼけつと云い、紀念碑といい、賞牌しょうはいと云い、綬賞じゅしょうと云いこれらが存在する限りは、むなしき物質に、ありし世をしのばしむるの具となるに過ぎない。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
さればローマ有名の史家プリニー当時のことを言いて曰くその田地は大将の手にて耕され、その土壌は賞牌しょうはいを冠したる犂鑱れいさんのもとに開墾せらる。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
翻訳劇を演ずる俳優の技芸の如き、あるひはまた公設展覧会の賞牌しょうはいんとする画家の新作の如き即ちこれなり。
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
いつわりならぬ真実!」と、東洋の詩人がうたったそのことが、彼には賞牌しょうはいの浮彫でも見るように、手探りの敏感さで、自分の皮膚へ感じられたように思えた。
あめんちあ (新字新仮名) / 富ノ沢麟太郎(著)
しかしずっと後になって最高の栄誉と考えられるコプリー賞牌しょうはいが授与されることになったのである。
レーリー卿(Lord Rayleigh) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その時にはシナの駐蔵大臣はもちろんチベットの将軍らも皆出て行きまして、成績良い兵士に一円より十円までの金を与えるもあれば銀製の賞牌しょうはいを与えるもあります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
探偵の身にしては、賞牌しょうはいともいいつべき名誉の創痕きずあとなれど、ひとに知らるる目標めじるしとなりて、職務上不便を感ずることすくなからざる由をかこてども、たくみなる化粧にて塗抹ぬりかくすを常とせり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
賞牌しょうはいを贈られたりして、その輝かしい名声をますます高めましたが、ただその頃のロシヤにおける政治が徒らに民衆を圧迫する傾きのあったことに対しては、大いに不満を感じ
メンデレーエフ (新字新仮名) / 石原純(著)
呼べばお夏はお夏名誉賞牌しょうはいをどちらへとも落しかねるを
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
勲章、賞牌しょうはい徽章メダル等が無造作に押し込んである。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
木村氏が五百円の賞金と直径三寸大の賞牌しょうはいに相当するのに、他の学者はただの一銭の賞金にも直径一分の賞牌にも値せぬように俗衆に思わせるのは、木村氏の功績を表するがために
学者と名誉 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)