“貴官(あなた)” の例文
ト云うて、貴官(あなた)の方へは、彼の罪迹(ざいせき)を何か報告せねばならぬでせう——イヤ、其様(さう)せねば貴官(あなた)の御機嫌(ごきげん)が悪いでせう——けれど実を言ふと
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「異なことを伺うもんだ。すると貴官(あなた)がたは、私がクラブから脱けだしてこの邸へ帰って来て兄貴を殺した、それを白状しろというんですか」
地獄の使者 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「志村のぶ子と、樫尾初蔵の処分方法は、貴官(あなた)から外務省へ御交渉の上、御決定下さい。二三時間の中なら、捕縛の手配が出来ると思います」
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
夫れァ貴官(あなた)無理ですぜ、火事を見付けて、時計を見てから怒鳴るなんて、其様箆棒(べらぼう)な話ァありゃしません。働いてから、紙屋さんの時計を見たら九時過でしたヨ。
越後獅子 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
「さあどうぞ、……貴官(あなた)お上り遊ばしては。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
僕も本当に左様(さう)思ひますよ、川地さん、貴官(あなた)は篠田を悪党だの何のと言ひなさるけれど、試(こゝろみ)に一度逢(あ)つて御覧なさい
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「貴官(あなた)はあの青竜王のことをたいへん信用していらっしゃるようですが、私はどうもそれが分りかねるんです」
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
怪しからんです……実は今朝、貴官(あなた)から、いつまでも可愛がって置いて遣(や)るように御訓戒を受けましたが、そんな風に人の名誉に拘(かか)わる事を吐きやがるようじゃ勘弁出来ません。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「おお貴官(あなた)で。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
実に敬服すべき君子だと申上げたでせう、スルと貴官(あなた)は大変に立腹して、其様(そんな)筈(はず)が無い、何かあるに相違無い、政府の方針は飽(あ)く迄(まで)も社会党撲滅と云ふことであるから
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
そうです。貴官(あなた)の仰有(おっしゃ)るとおりの疑問を、僕も持ちました。僕も実は最初からそれを考えていたんです。しかし僕はあの建物のが、すくなくとも我が警備関係のものではない証拠を
東京要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)