たく)” の例文
かくて私は、昭和四年七月、いったん第九師団司令部附となり金沢にたくせられ、同年八月停職処分を受けて軍職を退くことになった。
私が張作霖を殺した (新字新仮名) / 河本大作(著)
彼は間もなく失脚して循州にたくせられたが、障州の木綿庵もくめんあんに着いて便所へ往こうとする所を、鄭虎臣ていこしんという者のために拉殺らつさつせられた。
緑衣人伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
小生なども我は有用の人物なり、しかるにたくせられ居るを苦にせず屈せぬは、忠義なる菅公かんこうが君をうらまぬと同じく、名誉なりと思はば思はるべく候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
永禄四年女婿秀次の事に坐して北国にたくせられ、慶長元年赦されて還り、元和三年七十九歳で薨じた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「仙人が誤って人間になると、君のような風采になるだろう。君はたくせられた仙人だよ」
岷山の隠士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
白金プラチナの羽の散るさまに、ちらちらと映ると、釵は滝壺に真蒼まっさおな水に沈んでく。……あわれ、のろわれたる仙禽せんきんよ。おんみは熱帯の鬱林うつりんに放たれずして、山地の碧潭へきたんたくされたのである。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白金プラチナはねの散るさまに、ちら/\と映ると、かんざし滝壺たきつぼ真蒼まっさおな水に沈んで行く。……あはれ、呪はれたる仙禽せんきんよ。おんみは熱帯の鬱林うつりんに放たれずして、山地さんち碧潭へきたんたくされたのである。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
四年たくせられて越後國高田に往き、戊辰ぼしんの年にはなほ高田幸橋町みゆきばしちやうに居つた。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)