説法せっぽう)” の例文
「たしかにさようとぞんぜられます。今朝けさヒームキャのこうぎしでご説法せっぽうのをハムラの二人の商人しょうにんおがんでまいったともうします」
四又の百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「追い追いに申しあげましょう。釈迦しゃか説法せっぽうのようで恐縮でございますが。……そして、なおこの上の御助力を仰がねば実現もかないませぬで」
私は出家の事とて一切到処皆帰道場いさいとうしょかいきどうじょうという考えでこの宿屋でたびたび説法せっぽうをしました。ところが宿の主人は特別に優待せられて毎日湯を沸かすと一番新湯に入れといってくれるです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
多少気張っても見たが、其内くたびれ、気恥きはずかしくなって、わし一切いっさい説法せっぽうをよした。而して吾儘一ぱいの生活をして居る。儂は告白する、儂は村の人にはなり切れぬ。此は儂の性分である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
是は「釈迦しゃか説法せっぽう」とか、「両替屋りょうがえや算盤そろばん」とかいうのと一類のたとえごとで、無益の心づくしを嘲笑ちょうしょうした警句であろうが、これにって始めて知り得たのは、江戸期の初頭まで近畿地方にも
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
二の烏 道理かな、説法せっぽうかな。お釈迦様しゃかさまより間違ひのない事を云ふわ。いや、又おいちどのの指環をくわへたのが悪ければ、晴上はれあがつた雨も悪し、ほか/\とした陽気も悪し、にじも悪い、と云はねば成らぬ。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
日向殿の如き知識の人へ、こういうのは釈迦しゃか説法せっぽうであろうが、よくよく御養生あるがよろしい。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)