くわし)” の例文
「そう云うつもりでなければ、つもりでないようにもっとくわしく話したら好いじゃないか」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
余は真に此時までく仔細にて仔細に心に留る事の出来ようとはみずから思いも寄らざりき、不意の事柄にて不意に此時現れたる能力なれば我が心の如何いかんくわし思見おもいみひまも無かりき。
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
よろしい、実際痛いものなら仕方がない、嘉門次ならなおくわしかろうとそう決めた。
穂高岳槍ヶ岳縦走記 (新字新仮名) / 鵜殿正雄(著)
まず先方で縁談が調とゝのうかいなかを聞いてくわしくは云わんで、しかるべき為になるうちぐらいの事を云って、お前くか、はい参りますとぼんやりでも云ったら、そく/\姓名を打明けて云ってもいが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「社長、その頃の御生活をくわしくお願い申上げます」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「光景るがごとし……くわしいなあ。」
くわしくは考うべき由なし。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そうくわしい事を調査しても、とても分りますまいと思いますので、ただ諸君がいろいろな方面でどんな風に働いていられるか、ざあっとその状況を目撃さしていただけばたくさんですから
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
くわしい事は追って東京で聞くとして、ただ一言ひとことだけ要領を聞いておこうか」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)