話対手はなしあいて)” の例文
京都にては全く話対手はなしあいてなく困却仕候唯宅の者と散歩して食事でもするより他に致方なく候ただ本年は元日より今日まで毎日拙作を起草しそれにてまぎれを
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
今時の品のい学生風、しかも口数を利かぬ青年なり、とても話対手はなしあいてにはなるまい、またしないであろうと、断念あきらめていた婆々ばばが、たまり兼ねてまず物優しく言葉をかけた。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その手と手を取交とりかわすには及ばずとも、そばにつきって、朝夕の話対手はなしあいてきのこの汁でごぜんを食べたり、わしほだいて、婦人おんななべをかけて、わしを拾って、婦人おんなが皮をいて
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)