触出ふれだ)” の例文
旧字:觸出
いったん触出ふれだされた法令をそうたやすく変えることはできない、御改新を阻止し得なかったのはおれにも責任があるから、この要屋の裁きを利用して
改訂御定法 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
今度の触出ふれだしについて、梟娘はうしてもいの一番に願ひ出なければならないのであつたが、そのいえが富裕であるので、親たちも遠慮して差控へてゐるのを
梟娘の話 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
れまで新政府に出身しなかったのは、政府が鎖国攘夷の主義であるからこれを嫌うたのだ、仮令たとい開国と触出ふれだしてもその内実は鎖攘の根性、信ずるに足らずと見縊みくびったのである
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
総縫金銀摺箔一切着そうぬいきんぎんすりはくいっせつき申間もうすまじくという旧時もとの願いたてとお触出ふれだしのお書付に違ってるんだ
何が、死骸しがい取片づけの山神主が見た、と申すには、獅子がかしらさかしまにして、そのおんなの血をめ舐め、目から涙を流いたというが触出ふれだしでな。打続く洪水は、そのおんなうらみだと、国中の是沙汰これざただ。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)