親睦しんぼく)” の例文
樺太からふとハロ人雑居ノ地ナルヲもっテ、彼此ひし親睦しんぼく、事変ヲ生ゼザラシメ、シカル後手ヲ下シ、功ヲ他日ニ収メン」とするものであり
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
しきりに起こる排外の沙汰さた。しかも今度のあさひ茶屋での件は諸外国との親睦しんぼくを約した大坂西本願寺会見の日から見て、実に二日目の出来事だ。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
装束しょうぞくを解いて、書院へ上がった。やがて室をかえてから昼餐ちゅうさんが運ばれ、主客の歓語は、さすがに親睦しんぼくであった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その理論は、いっそう正しいいっそう人間的な世界を目ざして協力しながら、親睦しんぼくなヨーロッパを打ち建てんと夢想してる、自由な知力の人々に話しかけていた。
親睦しんぼく平和を好ませられ、そのため木曽家との国争いをも苦々しきことに覚しめし、戦いの場にもお出張り遊ばさず、尚また関東の北条氏と、昔からお仲よろしからぬを嘆かれ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
このように僕は、ただならぬ親睦しんぼくを彼に感じ、力こぶをさえいれていたのであった。
彼は昔の彼ならず (新字新仮名) / 太宰治(著)
あらゆるイギリス人の胸のなかに、家庭的感情が湧きおこって、強い力をもつのは、見るからにうれしいことである。親睦しんぼくの食卓のための万端の準備がされて、友人や親戚しんせきがふたたび結びあわされる。
無邪気な単純な溌剌はつらつとしたものへの憧憬や、いささかの友情、献身、親睦しんぼく、人間的幸福への憧憬や——つまり凡庸性の法悦へ向かっての、ひそかな烈しい憧憬ですね——そういう憧憬を知らない人は
親睦しんぼく会」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その細川藤孝と、隣国丹波の明智光秀とは、親戚以上の親睦しんぼくをつづけている。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
全社会の親睦しんぼく、科学の奇跡、夢幻的な空中飛行、幼稚な野蛮な詩など——勲功と愚直と淫逸いんいつと犠牲とにみちた勇ましい世界であって、そこで彼の酩酊めいていした意志は彷徨ほうこうや熱のうちに揺らめいていた。
何やかや、終日はにぎやかな親睦しんぼくの宴に暮れ、また次の日、さらに翌日も、人々は宋江を掲陽鎮の城内へ連れ出して、名所旧蹟、辻々の盛り場、興行物、ありったけな風物を見せてあるいた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、親睦しんぼく約定やくじょうをとりむすんである。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)