見知みしり)” の例文
前々ぜん/″\橋本の取巻で来ました男で、皆是が見知みしりと成って這入って来たのを見ると、お瀧も松五郎も面体めんてい土気色に成り、最早のがれるみちなく、ぶる/\手先が慄え出しました。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
雪中の死骸しがいなればいけるがごとく、見知みしりたる者ありて夫婦ふうふなることをしり、我児わがこをいたはりて袖をおほひ夫婦手をはなさずしてしゝたる心のうちおもひやられて、さすがの若者わかものらもなみだをおとし
男達のなかには、お島が見知みしりの顔も見受けられた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
三人昨日五人とどれどうだか分る者か何でもいゝは金さへ取ば仔細なしだ生首なまくび一ツ渡してやらうと云はわきから一人の非人が夫でもおやくびだと云から向うにも見知みしりあらほかの首では承知しまいと云ば一人の非人さればさ何だと云て相手あひては座頭のばうだから見分みわけが有物か首さへやれいゝ然樣さうして直に下屋敷へ葬むるで有らうからいゝ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)