見分みわか)” の例文
大小の抜けかゝったのをり上げ、松の根株へ片足を掛け、小左衞門が落入ったかと見おろしましたが、夕霞が深く立ってはッきり見分みわかりませんから、彼の侍が鐘ヶ淵の水面を覗き込む
にはかに暑氣しよきつよくなりし八月はちぐわつ中旬なかばより狂亂きやうらんいたくつのりてひとをもものをも見分みわかちがたく、こゑ晝夜ちうやえず、ねぶるといふことふつにければ落入おちいりたるまなこ形相ぎやうさうすさまじく此世このよひとともおぼえずなりぬ
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
とわい/\言われるから猶更逆上のぼせて履物はきものも眼にらず、紺足袋こんたびのまゝ外へ出ましたが、丁度霜月三日の最早あけ近くなりましたが、霜が降りました故かもや深く立ちまして、一尺先も見分みわかりませんが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)