見交みかは)” の例文
私は彼等の見交みかは眼差まなざしを思ひ起す。そしてその光景によつて起された或る感情さへも、この瞬間、私の記憶によみがへつてるのであつた。
青木さん夫婦ふうふはこのごろにないりのある、明るい氕持きもちで、希望きばう信頼しんらい笑顏えがほたがひにぢつと見交みかはし合つた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
引立れば藤八お節は何分なにぶんにもと挨拶あいさつなし兩人は九助を見送るに九助も此方を振返ふりかへり互ひに見交みかはす顏と顏これ今生こんじやう暇乞いとまごひと三人が涙は玉霰たまあられ見送り見返り別れけり藤八は我と心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そして互に認識した。これは昔見た事のある人だと云ふのではない。二人はこれまで一度も逢つた事がないのである。併し目を見交みかはした所で、互に相手の心が知れたのである。