裾裏すそうら)” の例文
手首まで覆っている肌襯衣はだシャツのようなものだの、すねにぴっちりついている裾裏すそうらと共色の股引ももひき穿いているのを異様に思った。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
お專は見ておまへすそに血が付て居るは如何なされしやと問はれて傳吉はおどろきながら打返うちかへして見れば裾裏すそうら所々に血の付て居る故是は不思議ふしぎなる事かな昨夜河原にて物につまづきけるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「ええ」と引込ひっこにおいぎ、「なまぐさいな。」とつぶやく時、綾子は引摺ひきずりたる小袖のもすそ、濡れて、冷く、はぎに触るるに、「あれ、気味の悪い。」とつまみ上げ、裾裏すそうらを返して見て
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それから人の前でもどこでも自分の着物の裾裏すそうらをまくってはなをかみ、そうして其涕それをうまくすり付けてしまう。余りが多いとつつの方にもそれをすり付けて置くんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)