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袂時計
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たもとどけい
ふりがな文庫
“
袂時計
(
たもとどけい
)” の例文
まだ床を離れない細君は、手を延ばして彼の枕元から取った
袂時計
(
たもとどけい
)
を眺めていた。
下女
(
げじょ
)
が
俎板
(
まないた
)
の上で何か刻む音が台所の方で聞こえた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お送り役と氷見役立ちあいで
袂時計
(
たもとどけい
)
を持ってお駕籠の早さを割りつけ、大袈裟にいや、氷室から西の丸の御車寄まで何千何百歩と、きっちりときまっているくらいなものなんです
顎十郎捕物帳:08 氷献上
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「ヴィクトル」は
袂時計
(
たもとどけい
)
の鎖をいらいだした。
あいびき
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
指頭
(
しとう
)
に触れるピンピンいう音が、秒を刻む
袂時計
(
たもとどけい
)
の音と
錯綜
(
さくそう
)
して、彼の耳に異様な節奏を伝えた。それでも彼は我慢して、するだけの仕事を外でした。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私は服薬の時間を計るため、客の前も
憚
(
はば
)
からず常に
袂時計
(
たもとどけい
)
を
座蒲団
(
ざぶとん
)
の
傍
(
わき
)
に置く
癖
(
くせ
)
をもっていた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
括
(
くく
)
り
枕
(
まくら
)
のしたから、
袂時計
(
たもとどけい
)
を出して見ると、一時十分過ぎである。再び枕の下へ押し込んで考え出した。よもや
化物
(
ばけもの
)
ではあるまい。化物でなければ人間で、人間とすれば女だ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
真中
(
まんなか
)
に
袂時計
(
たもとどけい
)
ほどな丸い肉が、
縁
(
ふち
)
とすれすれの高さに
彫
(
ほ
)
り残されて、これを
蜘蛛
(
くも
)
の
背
(
せ
)
に
象
(
かた
)
どる。中央から四方に向って、八本の足が
彎曲
(
わんきょく
)
して走ると見れば、先には
各
(
おのおの
)
鴝鵒眼
(
くよくがん
)
を
抱
(
かか
)
えている。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
主人の左の手の
拇指
(
おやゆび
)
が本の間に
挟
(
はさ
)
まったままであるところから
推
(
お
)
すと奇特にも今夜は五六行読んだものらしい。赤い本と並んで例のごとくニッケルの
袂時計
(
たもとどけい
)
が春に似合わぬ寒き色を放っている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
袂
漢検1級
部首:⾐
9画
時
常用漢字
小2
部首:⽇
10画
計
常用漢字
小2
部首:⾔
9画
“袂”で始まる語句
袂
袂別
袂落
袂持
袂糞
袂草
袂下
袂屑
袂石
袂別感